COVID-19がメキシコのエネルギー戦略と価格に与えた影響
世界的に前例のないコロナウイルスのパンデミックは、私たちの生活と世界経済の危機を引き起こしました。この危機がエネルギー市場にもたらした影響は、年初から原油価格が68%も急落したことです。また米国の天然ガス価格も年初から平均18%下落しています。
私どもは弊社のお客様から、「エネルギー価格の低下がCFEの電気料金の大幅な削減につながるかどうか」と言う質問をよくいただきます。この質問に対する答えは、「下がるかもしれませんが、皆さんが期待するほどではありません」です。 それは次の3つの事実を考慮する必要があるからです。
1- 燃料油と軽油の価格が下落したことは、CFEの発電コストに大した影響がありません。なぜならCFEの発電に必要な燃料は天然ガスが大きな割合を占めており、天然ガスの価格は年初以来石油ほどは下がっていないからです。
2-ドルに対する大幅なペソ安は、エネルギー価格の下落による利益を相殺してしまいます。現在、米ドルはペソに対し年初より33%高くなっており、CFEは燃料を米ドルで購入するため為替損が生じ、それがCFEの発電コストにはね返ってきています。
3-CFEは料金体系の算出方法を、燃料価格の変動による影響を避けるため、電気料金を一定の範囲に制限するように設定しています。
かりに発電コストを削減できても、電気料金を一定のレベルに維持しておくことをCFEがCREにさらに強く圧力をかけるかどうかが問題です。現在CFEはCREに対し、CFEが今まで通り強い影響力を持ち電力市場をコントローできるよう要求しており、この案件はCREにて審議中です。もし可決された場合、現在の料金が下がらないばかりか、逆にCFEによって適切と見なされるレベルまで引き上げられる可能性さえあります。
ただ重要なことは、今後CFEの料金がどうなるかに関わらず、1MW(メガワット)以上の大口利用者はこの機会にエネルギー契約の内容を再検討し、供給量、信頼性、および経費削減について、そのメリットと問題点を検討すべきでしょう。すでにかなりの数の企業が、電気料金、二酸化炭素排出量の削減や、安定供給の実現のために検討作業を始めています。これらの企業は、過去の使用量やそれに費やしたコストを検証し、CFE以外のサプライヤへの変更やオンサイト(自社の敷地内)での発電システムなど、さまざまなオプションの中からベストなものを選ぶことによって、コストの削減と業績の向上を目指しています。いまコロナウイルスの影響で私たちは未曽有の状況に置かれていますが、ある時点で物事は正常に戻り、ビジネスもまた今までのように回復してくるでしょう。その時のために先見性を備えたビジネスリーダー達がいま行っていることは、自社の発展と将来の収益に大きな影響を与えるに違いありません。したがってビジネスが減速している今だからこそ、電気料金の削減などを徹底的に行うことは極めて賢明であると言えます。最後に、イノベーションは往々にしてこのような状況下で起こることを歴史は証明しています。エネルギーに関しても同じことが言えます。先に述べたように現在ご利用の電力や天然ガスの調達契約を見直し、再生可能エネルギーの利用についての知識を深め、 さらに次世代のエネルギー技術が御社にとってどれほど有益であるかを学ぶのに、今が最適なタイミングです。Acclaim Energyは、メキシコのお客様にコンサルティング業務を通して多大な貢献をしてまいりました。今後も引き続きお役に立てるよう努力してまいります。ご希望、ご質問などありましたら是非ご連絡ください。
原 慎二(TEL:1-832-294-2512)or E-Mail:shara@acclaimenergy.com