企業を取り巻く環境、社会貢献、ガバナンス(ESG:Environment, Social and Governance)は実際には何を意味し、2021年はそれがなぜ重要になるのでしょうか?
今すべての業界が、ESGの強化と遵守に真剣に取り組んでいます。これらのポリシーは、企業の活動が引き起こす可能性のある環境的および社会的マイナスの影響やそれらを軽減する方法、また法律を遵守する効果的な意思決定を行うための社内手続き、商慣行、およびガバナンスに関することです。ESGポリシーがうまく行われないと、企業運営、資金調達、投資家やクライアント、およびサプライヤーの評価に大きな影響を及ぼします。
現在、株主や投資家グループはエネルギーと環境に関して、効率的かつ効果的に運営するためのESGプログラムを強力に推進している企業を投資先として探しています。
ただESGには「炭素排出量の削減」が唯一の方法である、という一般的な誤解があります。しかし実際にはそれを実践する企業にとって、以下のような多くのメリットがあります。
-売上げや収益の向上。
-コスト削減。
-役所などの理不尽な干渉の削減。 たとえば、許可や認可などがスムーズに行われる。
-従業員の生産性、士気の向上。また優秀な従業員を雇用できる。
-的確な投資判断。 そして
-資金調達がしやすくなる。
ESGプログラムの成功は、ますます競争上の差別化要因になりつつあります。
しかし多くの企業が自社にあった適切なESGプログラムを見つけることに苦慮しており、強い競争力を獲得するにはプログラムを早急に改善する必要があります。 これらの企業は、このギャップを埋めるというプレッシャーに直面しており、適切で強力なESGフレームワークをできるだけ早く構築するための必要な措置を講じなければいけません。
自社に最善のESGを作成するには、克服しなければいけない3つの障害があります。
最初の障害は、自社の主なリスクを特定、測定、および監視するのに役立つエンタープライズリスク管理(ERM)システムがないことです。エネルギーに関して言えば、この管理システムの中でESGが正しく機能しなければなりません。
これにより、経営幹部は企業が直面するリスクを特定し、戦略を立てることができます。例えば、二酸化炭素の発生が少ないクリーンエネルギーの需要は急速に高まっており、それに伴い価格も上昇しています。よってクリーンエネルギーの使用量の増加を抑制しコスト上昇を回避できます。
2つ目の問題は、ESGが投資ではなくコストと考えられていることです。これまで多くの企業は、二酸化炭素排出量や廃棄物を削減するために必要なテクノロジーやプロセスの変更は、製品をより高価で競争力の低いものにしてしまう追加コストと見なしてきました。しかしこれは中長期的に見れば、メリットが初期投資をはるかに上回っていることが既に証明されています。
三つ目の障害は、ESGが実際にどれほど効果があるかを測定するためのコミュニケーションと情報のギャップです。 ESGの測定方法に国際基準はなく、企業はESGを積極的に推し進めることが投資家や利害関係者の理解を得るのにどれほど効果的であるかについて懐疑的です。
欧州連合(EU)は、企業、投資家、社会組織がESGの有効性を測定するのに役立つベンチマークを提案していますが、これらがベストであるという認識は広がっていません。 ただESGの有効性を確認するためのいくつかの方法はあります。
ESGを改善するために企業は何をしなければならないのか?
その企業にマッチしたERMを開発して、会社が直面するリスク、それらがビジネスや戦略にどのような影響を与えるかを理解します。 前述のように、ESGは企業が現在直面しているリスクの一部であるため、数値によって最適なESGを理解し、それによってESGを改善し、これらのリスクを軽減するための戦略を構築しなければなりません。
もう1つのステップは、適切なESGプログラムを実現するには経営陣の理解と賛同を得ることです。 企業はすべてのレベルでESGについてより多くのことを行う必要があります。 例えば、コミュニティを支援するための従業員の理解は十分ではなく、投資家や株主はより積極的にカーボンニュートラル(植物由来の原料の場合、燃やして炭酸ガスを放出しても、その炭酸ガス中の炭素は元来植物が光合成によって大気中の炭酸ガスから取り込んだものなので、大気中の炭酸ガス濃度は常に一定に保たれる。このような炭素循環の考え方をカーボンニュートラルと言う)の導入を要求し、石炭および石油会社の資金調達に影響を与えようとしています。
Acclaim EnergyはESGの最前線にいる企業を支援する立場にあり、現在、多くのメキシコ企業のサポートを行っています。具体的には以下の通りです。
1-クライアントの事業、リスクプロファイルと戦略を考慮したERMの定義と構築。
2-戦略に沿ったESG目標の設定と、その有効性を測定するためのフレームワークの作成。
3-企業が果たしているESGを通しての責任や貢献を、社会に対してだけでなく社員に対しても、きちんと積極的に伝えていくことが重要。企業イメージを上げるための重要な企業戦略と位置づけ、コミュニケーション戦略の構築を行う。
結論として、今やESGはすべてのビジネスにとって重要であり、他の重大な問題と同様に、経営トップが積極的にサポートし、このプロジェクトを推進していくことが必要です。持続可能性はもはやオプションではありません。これは市場のリーダー、責任ある企業市民、優れた投資、そして顧客や市民に尊敬されるビジネスと見なされるための必要不可欠なものです。