議会に提出されたエネルギー改革法案とメキシコ経済への影響

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3月 26, 2021

最近メキシコ議会は、CFEが電力市場におけるほぼ独占的地位を取り戻すための現政権が推進する電力市場改革案を可決しました。提案された電力市場改革案の承認と実施は、「エネルギーの主権」を達成するための重要なステップと政府は位置付けています。

政府のエネルギー改革の重要な側面の1つは、発電所からの給電ルールを変更することです。法案では、他の再生可能エネルギーおよび民間の複合サイクル発電所よりも先に、CFEの発電所(まず水力発電所か。次に残りのCFE発電所)からの電力供給を義務付けています。これは経済的メリットに基づく現在の売電ルール、つまり「最も安価な電力を供給する発電所が最初に市場で売買される」という原則からの180度の転換です。

ディーゼルおよび燃料油によるプラントの電力が、他のよりクリーンで安価な発電技術より優先されるため、電力コストが増加し市場に大きな影響を及ぼすに違いありません。Plattsによれば、天然ガスから石油への切り替えにより、クリーンなガスによる発電が最大0.5 bcf /日減る可能性があります。この数字は、米国からメキシコへの1日の平均的天然ガス輸出の約9%に相当し、87,000バレル超の石油に相当します。経済的な観点からは発電コストが230万米ドル/日増加する可能性があります。これは天然ガス0.5 bcfを4 USD/MMBtuで購入した場合と87,000バレルのオイル(1月のメキシコのオイルの平均輸出価格49.52 USD/bbl) との購入価格の差です。他の発電コストを含めると、実際のコストは更に大幅高になる可能性があり、この追加コストは間違いなくエンドユーザーに転嫁されます。いま各企業がパンデミックから立ち直るため様々な努力をしている中、電気料金の値上がりが景気や雇用の悪化に追い打ちをかけることになります。大口のエンドユーザー、特にCFE から電力を購入している企業は至急対策を講じる必要があるでしょう。

この法案は、CFEがメキシコの電力市場で激しい競争から守られ、再び力を取り戻すためのものと見られています。もし承認されれば、エネルギー市場への投資と技術革新が妨げられ、民間に必要な成長を続ける現在のメキシコエネルギー市場が阻害されることは言うまでもありません。

エネルギー移行の2つの主要な原則は、エネルギー管理における民主化と、エネルギー部門内のいわゆる「創造的破壊」です。エネルギー管理の民主化により、エンドユーザーはより多くの供給に対する選択肢や発電のための技術的オプションを持つことができます。一方、エネルギー部門における「創造的破壊」は、時代遅れで費用がかかり汚染されている発電技術を、より新しくよりクリーンな技術に置き換えることを可能にします。

反対にエネルギー改革法案がエンドユーザーへの電力供給オプションを減らし、環境的および社会的に重大な影響を与える時代遅れで費用のかかる発電技術を維持するために、貴重な資源を割り振らなければいけないことは明白です。これに関連して、メキシコの国立気象局(スペイン語で「Servicio Meteorológico Nacional-SMN」)は、メキシコの気温が他の国よりも速く上昇していると述べています。 SMNの観察によれば、メキシコの気温が1981年から2010年の間に摂氏1.4度上昇し、同じ期間の地球の気温より0.5度高いとのことです。

Acclaim Energyや他の専門機関は、メキシコのエネルギー市場の発展に逆行し、旧態然とした体制に戻ることに強い懸念を示しています。開かれた市場はメキシコと大口ユーザーに多くの利益をもたらすので、この法案がメキシコに与える社会的、経済的また環境的悪影響を真剣に検討し理解されることを願っています。 Acclaim Energyは、エンドユーザーがより多くの選択の自由、より低価格、そして温室効果ガスの排出量の削減を実現できる、公正で競争の激しい市場であり続けることを主張します。

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