大口ユーザーのコスト削減を可能にするには「消費の最適化」がキーワードです。
エネルギー管理を戦略的に行うには非常に複雑な作業を通し、電力消費やコストなど一つ一つの要素を慎重に検討する必要があります。さらに、電力消費とコストを効率的かつ戦略的な方法でコントロールするには、いくつかの取り組みを実施しなければなりません。 これを可能にするためのキーワードが「消費の最適化」です。
多くの企業は、消費の最適化はピーク時の電力価格を回避するために、特定の時間の電力消費を削減することか、または単に安い電気料金を見つけることだと考えています。 この考えは間違ってはいませんが、消費の最適化を成功させるには以下のことを十分に理解することが重要です。
最初のステップは、電力消費の状況を正確に把握することですが、ユーザーは製造プロセスとビジネスプロセスを明確に理解しているので、どのプロセスが他のプロセスよりもエネルギー集約型であるかは知っているはずです。次のステップは、どの程度のコスト削減が望ましいレベルかを定義することです。目標とするセービングは、消費とコストを最適化する方法を左右する可能性があるため、このステップはかなり重要です。 三番目のステップは、どの方法が消費の最適化により適切であるかを判断することです。消費を最適化するための、この三つの基本的な方法を以下でもう少し詳しくお話しします。
•負荷シフト(Load Shifting)
•負荷制限(Load Shedding)
•ピークシェービング(Peak Shaving)
負荷シフト–電力価格が高いときに電力消費量が減少し、電力価格またはグリッドの需要が低いときに生産量が増加することです。たとえば、弊社のクライアントは、エネルギー集約型プロセスの大部分を夜間と早朝にシフトして、CFEのピーク料金の時間帯を減らしました。負荷シフトは、ほとんどが運用計画の変更で、比較的簡単に実践できます。ただし負荷シフトが有効なのは、ユーザーが非常に特徴的なエネルギー集約型プロセスを持っていて、コスト削減策を行うためにオペレーションの変更が可能な場合にのみ有効です。
負荷制限–電力平均分配とも言います。電力の使用量が増加したときに需要が供給を上回り、過負荷になって全体が停電するのを防ぐために、一時的に決められた場所や装置への給電を停止することです。負荷制限の難しさは優先順位をどのように決めるか、にあります。負荷の優先順位付けは、重要性に基づいて、さまざまな製造プロセスとビジネスプロセスに優先順位をつけます。例えば事務機能などは優先度が最も低い負荷制限の対象となります。
ピークシェービング–コストと容量にかかる追加料金を制限または削減するために、需要の高いエネルギー消費間隔を制御する方法です。ピークシェービングは負荷制限に似ています。ただし、ピークシェービングには通常、代替の発電または供給システム(ガスタービンや蓄電池など)の使用が必要となります。そのためピークシェービングは、必要な機器への投資に加え、それを管理したり運用するための手順やプロセスを決めておくなど、資金やより複雑な作業が必要となります。
近年、ピークシェービングは米国では一般的な手法になりつつあります。近い将来メキシコでも電力の最適化の手法として注目されることでしょう。ピークシェービングによるコスト削減を可能にしているのがDemand Response Programs (DRP)と呼ばれるものです。大口ユーザーはこれを使って、収益を生み出しています。DRPは、独立系システムオペレーター(メキシコではCENACE)または電力会社が推奨するプログラムで、ユーザーが高需要時に自発的に負荷を軽減することです。例えば、Acclaim Energyは、ERCOT (Electric Reliability Council of Texas) で天然ガス用発電機を使用しているいくつかの大口ユーザーの間で、DRP導入のためのコンサルティングを行ってきました。これにより彼らは過去10年間で、10〜20%のコスト削減に成功しました。
ピークシェービングおよびDRPの理想的な電力消費者は、夏季に冷房のための電力需要が急増しても、24時間大量の電力を消費しなければいけない大口ユーザーです。なかでもデータセンターはその最たる例で、消費の最適化とピークシェービングによるエネルギーコストと二酸化炭素排出量を削減する取り組みの正に最前線にいます。
そしてデータセンターの場合、次のことが確認されています。もちろんこれは複雑な作業ですから、専門家による検討とアドバイスが必要ですが、上記の取り組みによって大幅なコスト削減が可能になります。これらのオプションを活用するには、従来の電力供給スキームを補完する効率化プログラムや新しい電力供給ソリューションなどの取り組みが必要です。そしてメキシコのエネルギー市場が成熟するにつれて、これらへの理解と管理がますます重要になります。
メキシコの現在のエネルギー市場を考えると、他に先駆けて消費最適化を実行に移したものが、上記のオプションから最も恩恵を受けるでしょう。 実際にメキシコの大口ユーザーは、需要が高いときに送電とネットワークへの依存を減らし、潜在的な停電の影響を軽減すと同時に、 コストと二酸化炭素排出量の削減を達成できる、電力消費の最適化とピークシェービングに強い関心を示しています。
メキシコのエネルギー政策に関する議論は色々ありますが、これらは収益、効率を高め、環境を改善できる今現在最も実用的なソリューションです。 さらに詳細について検討をし、様々なオプションを活用されることをお勧めします。 もしご質問などありましたら、是非お尋ねください。