なぜ送配電プロジェクトへの投資が炭素排出量とエネルギー貧困を削減するのか

no-banner
5月 20, 2021

電化の増加が炭素排出量の削減に役立つことは、広く認識されています。例えば発展途上国や地方の小型ディーゼル発電機への依存を減らすでしょう。 大まかに言えば、電化とは発電と配電の能力を高め、増加させるプロセスです。発電と配電の構築にはかなりの投資が必要です。したがって、電化レベルの上昇は、送配電ネットワークへの多額の投資と密接に関係しています。 近年、送配電プロジェクトへの投資は着実に増加しており、2030年までに投資額は約4,000億米ドルに達すると予想されています。これは2020年からの複合年間成長率4%に相当します。この投資は以下のような内容です。

•電力需要を満たすための電力供給の信頼性と適合性の向上、また新しい再生可能エネルギーの開発により、世界の新世代エネルギーの75%が再生可能エネルギーになると言われている。
•電力コストの削減は、再生可能エネルギーの普及によって推進されるため、商業および産業と家庭向けの両方のユーザーが、電力コストの削減によるメリットを得ることができる。
•より多くの人々がグリッドに接続できるようになる。そして
•炭素排出量の削減やその他の環境目標の達成 により、化石燃料発電への依存を減らすことができる。

広域にわたる信頼性の高い送配電ネットワークの利点は、短期および中長期で見ても、多くの国がより多くの資源を投入し、投資の促進を後押しすることです。西欧諸国とその他の先進国が、経済的、環境的理由の両方から、送配電ネットワークへの投資をリードしているのは当然と言えます。米国エネルギー情報局(EIA)は、米国の主要な公益事業者が2019年だけで400億米ドルを送電システムに費やし、その3分の2が新規投資に費やされたと報告しています。ただ残念なことに、開発途上国よる送配電ネットワークを近代化し拡張するための投資は遅れています。例えばメキシコは上のグラフに示されるように、送配電網への投資が削減し続けると予想されています。 このように先進国と新興国の送配電網への投資の差が拡大することは、二つの深刻な結果をもたらします。第一に、世界中で採用され支持されている炭素排出削減目標を達成することが難しくなります。それは開発途上国の化石燃料への依存を支え、安価でクリーンな電力にアクセスする能力を低下させるからです。第二に、エネルギー貧困を増加させます。エネルギー貧困とは、「開発を支援するための適切で、手頃な価格、信頼性が高く、安全で環境に配慮したエネルギーへのアクセスの欠如」と世界経済フォーラムによって定義されています。 政府やNGOは、エネルギー貧困レベルを下げ、化石燃料の使用を削減するために、開発途上国で送配電網の必要のないソーラーパネルなど(off-grid solutions)を推進してきました。しかしエネルギー貧困レベルを大幅に下げるには、より多くの資源が必要です。これに関連して、先進国は新興国の送配電プロジェクトに対してより多くの財政的支援をしており、金融業者や投資家も同じことを進んで行っています。例えば米国は、アフリカでの送配電プロジェクトを支援するために最大30億米ドルの支出を考えています。これにより発電容量が30GW増加し、2030年までに新たに6,000万世帯が電気を利用できるようになると予測されています。歴史的に実証されているように、送配電網への投資は、炭素排出レベルの削減を達成し、クリーンで手頃な価格の信頼できるエネルギーへの普遍的なアクセスを提供します。これは社会経済的発展を促進するために最も重要です。特に発展途上国の取り組みを支援するための、より大きなコミットメントが必要です。この種の投資は、開発途上国のすでに不足している資源をさらに枯渇すると言う人もいますが、長期的な利益を考えると初期投資行う価値があります。この懸念に対する解決策は、公的資金と支出だけに頼るのではなく、送配電プロジェクトへの民間の参加を増やすことです。

メキシコは代表的な例です。 残念ながらメキシコの政府財政は困窮しています。その要因の一つはPEMEXとCFEへの行き過ぎたコミットメントとCOVID19よる税収の大幅な減少です。

民間からの資金調達を許可し、送配電プロジェクトに積極的に参加させれば、メキシコの病んでいる財政にいくらかの救済になるでしょう。この官民協力の好例は、Sonora と Baja California Sur間の相互接続プロジェクトを再開することです。このプロジェクトは、この州の人々が安価でクリーンな発電にアクセスすることで利益を得て、化石燃料発電への依存を減らすのに役立でしょう。 メキシコや他の国々は、エネルギーの送電と炭素排出の削減に関して多くの課題を抱えており、多くは送配電への投資だけでは解決できません。しかし、国の環境、経済、社会問題への取り組みに関しては、エネルギーの重要性を否定することはできません。アメリカや他の多くの国々は、送電が経済成長の基礎であることを学びました。それはアメリカの産業成長を促進するのを助け(他の国々も同様で)、同時に環境を保護し貧しい人々に必要な救済を提供するに違いありません。

Top