過去2か月の間に現政権はパンデミックによる電力需要の減少を理由に、メキシコの電力市場を修正する取り組みを倍増させてきました。しかしこの行動は2013年のエネルギー改革の精神に反し、法律を変更することなく発電事業者やサプライヤを制限し、以前の中央集権的で閉鎖された市場に戻すためのものです。
2013年のエネルギー改革は、卸売電力市場(MEM)の発展と発電事業者の改革計画により、次のことが実現しました。
- 再生可能エネルギーよる発電プロジェクトは、メキシコへの数十億米ドルの直接投資と10万件以上の直接雇用を生み出し、さらに温室効果ガス排出量の削減に貢献しました。
- 大口の電力消費者が、自社の消費量と許容可能なリスクに最も適した商品および供給契約を選択することにより、エネルギーコストを大幅に削減できる可能性が生まれました。
現政権は民間の発電所の送配電料金を値上げする方針です。これは民間の発電事業者とサプライヤに大きな悪影響を与える残念なステップであり、場合によっては人為的な方法でCFEに対する競争力や優位性を著しく低下させるものです。これによって発電事業者から直接電力を購入しているエンドユーザーは、CFEに戻るか、卸売電力市場に移行するか、および/またはガスパイプライン契約の交渉と同様に発電事業者と政府間の新たな交渉(政府によって既に決定、合意していることを無理やり変更させられるなど)に従うか、のいずれかを選択するしかありません。
多くの人は、CFEが送配電料金の引き上げを実行する代わりに、なぜ大口ユーザー向けの料金を下げて競争力を高めないのか不思議に思うでしょう。 その答えは、「CFEはレートを下げる余裕がないから」です。なぜなら
- CFEの発電コストは、石炭、ディーゼル、燃料油を使用する非効率的で古い発電所のために高くなります。 ディーゼルまたは燃料油の発電プラントの発電コストは、再生可能プラントの発電コストが25〜45米ドルであるのに対し、少なくとも80米ドル/ MWhかかります。。
- 工場などを持つ大口利用者からの収入は、家庭用料金(CFEの電力の7割以上は一般家庭に供給されており、十分な収益がありません)の穴埋めや投資プロジェクトの資金調達に使用されたり、 莫大な借金の返済に充てられています。
それでは送配電料金 の値上げによる影響は何でしょうか? 最初に注目する点は、送配電料金の増加は、発電事業者と直接契約(Legacy Contract)しているすべてのユーザーに影響することです。 効率的で再生可能エネルギーによる発電に関する新しい料金設定はすでに周知されており、従来型発電の送配電料金も近く公表される予定です。
二番目の概念は、ユーザーが消費する電圧に応じて累積料を取られるため、送配電料金の増加も累積していくということを理解しなければなりません。例えば、発電が高電圧で行われ、ユーザーが中電圧で消費した場合、このユーザーは消費するKWhごとに高電圧と中電圧の両方の送配電料を支払わなければいけません。 つまりこれは、低電圧ポイントにおける影響が増幅されることを意味します。なぜなら三種類の送配電料を支払う必要があるからです。
この例は、送電および配電レートの上昇が経済に与える影響を理解することができます。 これは6メートル、4つの中電圧、2つの高電圧を持つ大口ユーザーの場合です。 この影響は年間4100万ペソと推定され、CFEレートに対するセービングが大幅に軽減されてしまいます。
この状況で自社を守るために、各社は一体何ができるでしょうか。
もしまだCFEから電力の供給を受けている場合、卸売電力市場(MEM)に切り替えるか、自社発電による電力の安定供給と電気料金削減の機会を模索することをお勧めします。さらに付加価値として、大口ユーザーが再生可能エネルギーによる消費電力を増加させることで、二酸化炭素排出量を削減し、持続可能な目標を達成できるようになります。
メキシコの電力市場は、規制や政治的リスクにもかかわらず、すべての市場参加者が成功するための機会を今も提供し続けています。逆に、すでに貴社がサプライヤ契約またはLegacy契約を交わしている場合、現在の契約内容をもう一度精査してみることをお勧めします。 これは非常に重要です。なぜなら、契約が本当に自社にとってベストか、また契約通りに履行されているかが判明するからです。
- 契約通りに行われているかどうかをチェックします。 そして、
- 運用上および財務上のリスクを軽減できるかどうかも確認します。
さらに、これらを継続して行う利点は時間が短縮されることによって、コストが削減されるからです。
- 毎月:請求書の確認および不具合があった場合の契約先との調停。
- 定期的:契約内容が正しく履行されているかの確認。
Acclaimが行った監査で、もちろんすべてではないですが、ほとんどの顧客に対しサプライヤ/発電事業者が契約通りに履行していないことが分かりました。例えば毎月の請求書の間違いが頻繁にあり、1万米ドルを超える超過料金が発生したケースや、契約期間中のトータルで300万米ドルの過払いが発生していたものもありましました。これらの例は、契約期間中、特に現在のパンデミック危機などの状況で、エネルギー供給契約の内容をしっかり理解し、契約が正確に履行されているかを絶えずチェックすることの重要性を示しています。発電事業者と直接契約を結んでいる企業は、過払いが予算にどのように影響しているかを専門家に調査、確認してもらうべきでしょう。過払いなどによる損失が想像以上に大きい可能性があります。
「すでに契約をしてしまったので、次の更新時まで何もできない」とあきらめるのではなく、現行の契約の中で直接的または間接的に不必要な支払いを減らし、電気代を削減することができることをご理解ください。そのためにも経験と実績があり、この分野で豊富な知識を持つ専門家に依頼することが最適です。
メキシコの電力市場の現在の状況は、既存の規制によるリスクと民間発電、特に再生可能エネルギー発電に対する障害によって理想的な形ではありません。それによってユーザーは何をすべきかがわからない状態にあります。しかしAcclaim Energyは、現政権のエネルギー政策によるCFEの値上げが、大口ユーザーの電力コストの増加を引き起こす中で、今こそ的確な対策を講じればピンチをチャンスに変えられると信じています。
この影響を最小限にするために、サプライヤ契約やLegacy契約の内容を見直し、経費を削減できる様々な方法を見つけ実行してください。弊社はこの不確実な環境下で、現在そして未来の状況を正確に分析し、貴社が正しい情報に基づいた正しい判断ができるよう、最大限のサポートをいたします。